昔に戻る旅、今を整える時間。
年に一度、小学校からの仲間5人で、泊まりの小旅行に出かけている。
今年は栃木。午前中の子どもの運動会を終え、午後から足利フラワーパークに合流した。
温泉に入って、ご飯を食べて、また温泉に入って、あとはひたすらだべる。
翌日も目的地はあるけれど、やっぱりだべる。
何かを「する」旅ではなく、「戻る」旅。
会話のリズムも、笑い方も、昔のまま。
それがいい。
任せて離れるという整い方
ボーイスカウトの活動は副長たちに任せてきた。
少し後ろ髪を引かれる思いもあったけれど、
自分がいなくても回る組織であってほしい。
裁量を広げることで、リーダーもスカウトも伸び伸びできたなら、
それこそが「整っている」状態だと思う。
足利学校にて ― 学びの原点に触れる
足利フラワーパークのあと、足利学校へ向かった。
日本最古の学校といわれる場所。
静かな校庭に立つと、
「学ぶ」という行為そのものの原点に触れるような気がした。
教える立場で日々を過ごしている自分にとって、
ここは特別な意味を持つ。
人が人に教え、伝えることの始まりの場。
その空気の中で、時間がゆっくりとほどけていった。
歴史の余韻を感じながら、夕暮れのお丸山のホテルへ。
仲間との時間が本格的に始まる。
洞窟に眠る時間 ― 島崎酒造にて
二日目は、栃木県那須烏山市の島崎酒造へ。
洞窟を利用した貯蔵庫があり、「東力士」という銘柄で知られている。
洞窟内の空気はひんやりと静かで、
まるで時間そのものが眠っているようだった。
その空間で、日本酒がゆっくりと熟成されていく。
あたすは車の運転もあって、お酒は口にしなかった。
もともと強い方でもないし、正直、味の違いはわからない。
でも、造り手が丹精込めて仕込んだ一本には、
確かに「思い」が宿っている。
味わうことはできなくても、感じ取ることはできる。
そして、その“感じ取る誠意”こそが、いちばん伝わる気がしている。
益子焼 ― 幸運をわかちあう器
酒蔵をあとにして、益子焼の産地へ向かった。
窯元や販売所が並ぶ町並みは、どこか穏やかで、土の匂いがする。
ふと目に留まったのは、フクロウの焼き物。
風水では、色によって呼び寄せる幸運がちがうという。
4つを選んで家族でくじ引きし、
それぞれが高まる運を信じながら、この旅の思い出を分け合った。
形あるものを通じて、思いをお裾分けする。
それもまた、旅の余韻のひとつのかたちだと思う。
バンダイミュージアムで再び“時間”と出会う
そのあとは、バンダイミュージアムへ。
ガンダムをはじめ、懐かしい玩具たちが並ぶ空間は、
まるで自分たちの少年時代を再生してくれるようだった。
ただの展示ではなく、“思い出のトリガー”だ。
目の前にあるおもちゃ一つ一つが、
あの頃の自分たちの会話を引き出してくれる。
気づけばまた、ひたすらだべっていた。
それもいい。
時間を共有する仲間たちと、笑いながら同じ記憶の層をたどっていく。
それこそが、この旅のいちばんの目的なのかもしれない。
旅の余韻を贈る
酒蔵で、いつもお世話になっている二人へのお酒を選んだ。
毎年、この旅の出先で出会ったお酒を贈るようにしている。
一緒に旅をした仲間と過ごした時間。
その土地の空気や光、会話の余韻。
それらが一本の瓶の中に閉じ込められて、
誰かのもとに届く。
旅は終わっても、少しだけ続いていく。
贈るという行為そのものが、整いの延長なのかもしれない。
✨ AlignMe Note
学び、任せ、感じ取り、分け合い、笑い、贈る。
この旅は、整うための六つの時間だった。
どの瞬間も、静かに今へとつながっている。
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