雨の中で整う – やり切る覚悟と心の揺らぎ
ボーイスカウトのボーイ隊長をしている。
この週末にキャンプを実施した。
雨の予報は出ていたが、晴れの日プランのサイクリングから、公共交通機関を利用する雨の日プランに変更し敢行した。
終わってしまえば、リーダーたちもスカウトも、皆やり切った顔をしていた。
一度設営してしまえば、途中撤収の判断は難しい。
「やり切るしかない」と覚悟が決まった。
乾燥もできない。ならば腹をくくる。
弱音を吐く者は誰もいなかった。
それだけで十分だと思った。
夜、テントの中で雨音を聞きながら、
「これでよかったのかな」と考えていた。
中止判断をするのは自分だ。
消灯時間を過ぎ、日付が変わってからも迷いがあった。
自分のテントは浸水していたし、心細さもあった。
雨が強まる音を聞くたびに、
「スカウトのテントは大丈夫だろうか」と気がかりだった。
けれど翌朝、スカウトたちは
「暖かく過ごせて快適だった」と笑っていた。
それを聞いて、ようやく肩の力が抜けた。
リーダーの中には、
サボりがちなスカウトを厳しく見守る者もいた。
それもまた、ひとつの正しい視点だと思う。
スカウト教育の解釈は人それぞれでいい。
ただ、隊長の判断に対するリスペクトさえあれば、
足並みは揃う。
私のソロテントだけが浸水していたが、それもまたよし。
濡れていても、外より温かい。
不便の中にある温もりを、
皆で共有できたことが何よりの成果だった。
整うとは、状況を変えることではなく、
受け入れたうえで心を合わせること。
雨の音の中で、その意味を静かに確かめた。


コメント